ダイヤの恋人 〜June bride〜
「瑠花さん、行きましょうか」


「はい」


ブーケを受け取って頷いた途端、一気に増幅した緊張に声が震えてしまいそうになったけど、小さな深呼吸を二回繰り返して誤魔化(ゴマカ)す。


有田さんはあたしを気遣いながら誘導してくれ、真っ白なドアの前で立ち止まった。


「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ、スタッフも少ないですから」


「はい。でも、やっぱりちょっと……」


苦笑を浮かべるあたしの背中を押すように、最初の鐘の音(ネ)がカランと鳴った。


それを合図にチャペルに響き渡り始めた音はとても美しく、正に祝福の歌を奏でているみたい。


「さぁ、深呼吸をして」


有田さんに促されて深呼吸をすると、スタッフによって目の前のドアがゆっくりと開かれた。


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