ダイヤの恋人 〜June bride〜
差し伸べられた手を前に脳裏に過ぎったのは、“一つの恋の終わり”と“一つの恋の始まり”が同時に訪れたあの日の事。
ねぇ、理人さん……
こんなにも幸せな今、鮮明に思い出しているのは、あなたと観た金環日食でも、夢のようなプロポーズの夜でも無くて……
“あの夜”の事なんです……
こんな事を言ったら、理人さんはどんな顔をしますか?
伝わるはずが無いとわかっていながらも心の中で尋ね、目の前に差し出されている大きな手を取ると、パイプオルガンのメロディーと鐘の音が止んだ。
それからすぐに訛(ナマ)った日本語で話し始めた神父の声によって、訪れた静寂は一瞬で終わってしまう。
まるで歌うような口調は、いつか観た映画の結婚式でのシーンを思い出させた。
ねぇ、理人さん……
こんなにも幸せな今、鮮明に思い出しているのは、あなたと観た金環日食でも、夢のようなプロポーズの夜でも無くて……
“あの夜”の事なんです……
こんな事を言ったら、理人さんはどんな顔をしますか?
伝わるはずが無いとわかっていながらも心の中で尋ね、目の前に差し出されている大きな手を取ると、パイプオルガンのメロディーと鐘の音が止んだ。
それからすぐに訛(ナマ)った日本語で話し始めた神父の声によって、訪れた静寂は一瞬で終わってしまう。
まるで歌うような口調は、いつか観た映画の結婚式でのシーンを思い出させた。