ダイヤの恋人 〜June bride〜
「理人さんがキールに込めた想いを教えてくれた時の事を、見ていたような気がします」


鮮明では無い記憶なのに、何だかくすぐったい。


思わずフフッと笑うと、理人さんが意味深に微笑んだ。


小首を傾げたあたしの疑問は、唇にキスを落とした彼に制されてしまう。


啄むようなキスを数回繰り返し、最後に額でリップ音が鳴った。


「最高のめぐり逢いになったね」


目を小さく見開きながら、昨夜聞き取れなかった言葉があった事を思い出す。


ただ、あの時に理人さんが何を言ったのか、今はもう訊かなくてもわかった。


「はい」


ゆっくりと頷くと、マリッジリングが輝く左手に優しく指が絡められ、どちらからともなくそっと唇を重ねた――…。





             END.


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