ダイヤの恋人 〜June bride〜
心地好い温もりを感じながら、ゆっくりと瞼を開ける。


まだ意識の半分を夢の中に残して来たような、寝起き特有の気怠い感覚。


完全に覚醒していない頭は、まだ働きそうに無いけど…


体を包む温かい腕が誰のものなのかはすぐにわかって、甘えるようにそっと擦り寄った。


「おはよう」


抱き寄せられた頭上から、優しい声が降って来る。


「おはようございます」


微睡(マドロ)みそうになりながら小さく返せば、理人さんが額にキスをしてくれた。


「いい夢でも見れた?」


「え?」


「幸せそうに笑ってたから」


少しの間考え、微かに残った記憶を呼び起こす。


「よく覚えてないけど……」


顔を上げて理人さんを見つめ、続く言葉を口にした。


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