月と太陽
last story
冬休みも終わり、寒空の中また学校へ通う毎日が始まった。

冷たいというより、痛い風が吹く。

タケルの温かい手があるとはいえ、この寒さに耐えなければならない登下校は、とても辛かった。


ある日の昼休みのことだ。

冬はさすがに屋上へ行く勇気は無く、わたしは教室で昼食をとっていた。

「でさ〜、裕太ったらね」

さっきから麗佳は佐野くんの話ばかりしている。

そのせいで箸が止まっていて、食事が進んでいない。

どうやら麗佳と佐野くんは、冬休み中に恋人としての付き合いを始めたらしく、麗佳は惚気交じりに愚痴を溢しているのだ。

わたしは正直、あまり興味がないため「そうなんだ」と相槌をうっていた。
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