とある王子(兄)が引きこもりの姫(妹)を愛する(復讐する)話

弟視点「学校に行こう」



・祐樹視点


こないだから兄の王子が何かを始めた。

家に帰ってきてからもスマホをずっといじっている。彼女がいたときよりも、だ。詳しい話を聞いていない俺は気になり、王子の背中に伸し掛かかりスマホを覗き込んだ。



「なーにしてんのー。」

「出会い系。」



隠すことなく堂々と言い放った兄に吃驚して「え!?」と耳元で大声をだしてしまった。王子は眉を潜めて、「うるさい」と言う。

「え、なんで!?王子出会い系なんかしなくてもモテるじゃん!」
「出会い目的でしてるんじゃない。胡桃に絡んでる奴つってんの。」
「...あーなるほど。また怖い事してるねー。てか、そんなに簡単に釣れるもんなの?」
「うん、5人くらいつれたよ。」
「そんで、そいつらと絡んでるわけ?」
「うん。情報聞き出して、復讐に協力してもらおうと思ってさ。」
「王子を敵にまわしたくない。怖い。」


この人(王子)、想像の斜め上を行く行動をするから読めないんだよなぁ。誰にも考え付かないような事を平気でやって、それで全部うまく片づけるんだもん。

すごいよなぁ。


しみじみ兄を見ていると、王子は突然ふりむいてにやりと笑った。

「祐樹も出会い系してよ。カラオっていうチャットアプリでグループ作るからそれに入って。」

「は?いやだよ。面倒事に巻き込まれるのは嫌いなのー。なんか大事になったら大変だし。」

「大丈夫だって。ちゃんと線引きはしてるから。俺がグループ作ってつれた5人を招待しても、皆俺の意見を素直に聞いてくれるはずがないだろ?胡桃に好意を持っているやつは、探りをいれている俺のことをよく思わない。

だから、そのグループのなかに「胡桃と出会い系で知り合った」設定の祐樹をいれて、祐樹がグループチャットで俺が言っていることは正しい!賛成!アピールしてくれたら、他のやつらも、そうかもって思って、考えを変えるかもしれない。」


だから、お願い。

意地の悪い笑みを浮かべる兄をみて、おもわず表情がひきつった。
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