イジワル王子と屋根の下
「ご飯食べられそう?」
「あぁ」
「じゃあ今持ってくるね」
そして部屋を出て、お盆を持ち戻ってくる。
そっと手渡されたのは、少し深めの更に盛られた出来たてのおじや。立つ湯気からいい匂いが漂ってくる。
「食べさせてあげようか?」
「顔面におじやぶつけるぞ」
「ゴメンナサイ」
すぐ調子に乗るのも、こいつの性格だ。
(…けどまぁ、メシは悪くない)
黙って食べ始める俺にその顔はにこにことこちらを見る。
「…何だよ。腹減ってんのか?」
「違うよ!」
「じゃあ何」
「いや、なんか…可愛いなーと思って」
「…はぁ?」
可愛い、その言葉に思わずイヤな顔になる俺にそいつはふふと笑う。