イジワル王子と屋根の下



「いつもうちの梨沙がお世話になってます。梨沙の彼氏の、亀戸と申します」

「…!!?」



えっ…えええ!!!?

瞬が…あの瞬が…

自分からお店にきて、自ら彼氏のフリ、なんて…



(ど…どういうこと…!?)



状況についていけず固まる私に、瞬はこちらへ視線を戻す。



「梨沙、今日6時までだろ?丁度近くまで来たから一緒に帰ろうと思ってさ」

「えっ、でも…」

「あらやだ水谷さん!こんな素敵な彼氏がお迎えなんて来たら帰るしかないわよ!」

「そうそう!丁度今6時だし!あがってあがって!」

「……」



興奮気味に私を奥のスタッフルームへと押し込む菊間さんたちに、瞬はにこにこと笑顔のまま。



< 199 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop