Summer memories
キーンコーンカーンコーン……


「おいっ志衣!帰るぞ!」



学校も終わり、放課後。


「ごめん!今日掃除当番だから、二人とも先帰ってていいよ!」



「りょーかい。」


大輔はそう言うと、

恭介と二人で帰って行った。



「仲いいねえ。」


「へっ!?」



優子はほうきの棒の先に頭を乗せて、
こちらを見ていた。


優子も掃除当番か。


「大輔君と超仲良いし。幼なじみだっけ?」


「うん。まあ。」



あたしはほうきでゴミを集めるふりをした。



「いいなぁ。羨ましい。」


優子は教室の窓を見た。


あたしも窓の方へ歩いた。



教室の窓からは校門から続く坂道が見渡せる。



テトラポットも駄菓子屋も海も見える。



そして、ふと、校門を見てみると、


「あれっ?恭介?大輔?」


先に帰るんじゃ………。


すると、恭介はあたしに気が付いた。


そこで、あたしは窓を開けて、

「先に帰るんじゃなかったのー!?」

と叫んだ。


すると、

「ヒマだから待ってんのー!」

と、恭介は叫んだ。


それに続き大輔が、

「早く終わらせて、下りてこーい!!」

と、叫んだ。




「先帰ってていいのに。」


あたしはそうつぶやくと、


ほうきを片付け、


「じゃ、二人が待ってるから、帰るね!」


そう、優子に伝えた。


「ん。分かった。じゃ、バイバイ。」


優子は手を振った。


あたしも手を振った。











「いいなぁ。」


誰もいない教室で優子の声が響いた。
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