Chorus to you
お昼ごはんを食べる時も、もちろん1人だ。班長に立候補した人が好き勝手に決めた女子3人男子3人で1つの班になっている席順で、私の前の女子2人は背を向けてお弁当を食べる。
2人組の仲良しの後ろの余った所にボンと入れられた様な席。
同じ班の男子達はからかってはこなかったが、話しかけてきてくれない。
本当にもう…。
お弁当の味がしなかった。
…と、目にまつげが入った。鏡を出して目の様子を見る。
「あーっ、安藤さん鏡みてる!ナルシストだ!」
ギャハハハハハと一部の男子達が私を指をさして大笑いする。
…鏡を見る事すら許されないの?
私は我慢ならなくなって、勢いよく立ち上がって鏡とお弁当を乱暴に机の上に置くと、隣のクラスに走った。
「陸美…っ!」
息を切らせながらバンと教室のドアに手をついて親友の名を呼んだ。
「ほな。どした?」
陸美は弁当を手に、入り口のところに近づいてきた。
口を開くと涙が零れそうで、うまく言えなかったが精一杯SOSを出す。
「ちょっとしんどくて…」
「…ふぅん。ねえ、ほな。」
「ん?」
「良い加減、私の所に来るのやめたら?」
……えっ?
呑気にもぐもぐしながら陸美は続ける。
「だって私、ほなの事ばっか考えられないし、私に言ったところで何にもならないよ?なんにもしてあげられないし。」
体に稲妻が落ちる様な感覚がした。
「あっ、ほな!?」
私は思わず走り出していた。陸美の声を置いて、トイレの個室に駆け込んだ。ひんやりとした壁にもたれかかる。
「…ふ…っ…」
パタパタと涙が床に零れ落ちた。
ひどい、ひどいよ。陸美だけが頼りだったのに。言っても意味ないなんて、そんな事ないのに。聞いてもらえるだけで少し楽になれたのに。
私は予鈴が鳴るまで、トイレで独りすすり泣いた。
窓に打ち付ける雨粒が次第に強くなって行った。