Chorus to you

気がつくと、夜になっていた。寝てしまったらしい。少しだけ肌寒い。

体を起こすと、頬で止まっていた冷えた涙が落ちた。

「穂菜実〜、ご飯よ〜!」

いつの間にか母親も帰ってきたらしく、1階から声がした。

「…ごめん、食欲ないや。」

そう答えて、私はPCを開いた。ブログに早速コメントがついている。真剣に長文コメントをくれる人や、茶化す人など沢山いた。

「…?」

ひとつ、目に留まるコメントがあった。

『いつも、みてるだけでゴメン。安藤さんへのイジメヒドイけど、頑張って。何かあったら、相談乗るからね!』

「何コレ…私の事知ってる人?」

そのコメントをしたユーザー名は、“ヒロト”だった。

「ヒロトって、同じクラスの神崎大翔君かな?」

トクン

その時私の心臓が飛び跳ねた。ちゃんと見てくれてる人がいた。そう思うと嬉しくて涙が溢れた。実際に相談できるかどうかはわからないけど、その一言で凄く心が軽くなった。

嬉しくて嬉しくて、出てくる言葉が多すぎて、なんて返したらいいかわからなくなったから、「ありがとう」とだけ書いた。

私の流した涙は、いつのまにか嬉し涙に変わっていた。
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