「約束」涙の君を【完】
ひとりきりの部屋になって、
まだ、感触の残る頬を抑えた。
もし、祥太に気持ちを伝えたらどうなるんだろう……
もし、祥太と付き合う事ができたら……
でも、高校行ったらどうなるの?
いつもここで、気持ちを抑えてしまう。
今までずっと二人でいて、好きって気持ちでいっぱいで、
声が出たら、一番に伝えたいって思っていたけど、
高校が始まると思うと、
気持ちにブレーキがかかる。
高校で見た、女子たちと一緒にいた祥太を、
花火大会で、何人もの女子たちに声を掛けられていた祥太を思い出すと、
私なんかが、祥太の隣にいたら、
祥太が何か言われてしまうんじゃないかって、
どうしても思ってしまう。
祥太に迷惑をかけるんじゃないかって、
思ってしまう。
迷惑じゃないって言ってくれたけど、
何度もその言葉を信じようって思ったけど、
高校に行ったら、そんなのダメだよって思ってしまう。
高校に行ったら、私と祥太の関係は、
何かが変わってしまう……
そんな気がした。
その時、携帯が震えた。
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優衣は祥太と花火見れた?
新学期会えるの、
楽しみにしてるから!
一緒のクラスだといいね!
青井 寧々
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あれ、あおいからだよね……
青井 寧々……
青井……あおい……あおい!
あおいって、名字だったんだ。
そっか、祥太は名字を呼び捨てにしていたんだ……
こんな小さな事で、ホッとしているなんて、
本当に高校行ったら、
どうなってしまうんだろう……
不安……
いろんな事が不安でいっぱいのまま、
新学期が始まろうとしていた。