「約束」涙の君を【完】
私とは付き合えない……
「結城くんの家族が許さないと思うけど。
そんな家族の娘と、自分の息子が付き合うなんて。
そうでしょ?」
私は黙ってしまった。
返す言葉がなかった。
「だからなんだっていうの?」
私の後ろから声がして、振り向くと、
同じクラスの女の子が立っていた。
この子……さっき泣いていた子だ……
「なによ!山崎さんだって振られたんでしょ?
黙ってなさいよ!」
「東条さんだって、振られたじゃない。
私、ずっと中学の頃から結城くんのことが好きだった。
でも、どんなに好きでも振り向いてもらえなくて。
でも諦めきれなくて……
結城くんずっと彼女いなかったから。
だから、いきなり水沢さんが彼女だって聞いて、
ショックだった。
でも、結城くんらしいなっていう気持ちもあった。
結城くんは、家族がどうとか、周りからどう見られるかとか、
そんなことで人を好きになる人じゃなかったんだってわかって、
私の好きになった人は、
やっぱり素敵な人だって思った。
だから、私、今度こそ結城くんを諦められそう。
やっと、諦められる。
彼女が東条さんだったら、絶対に諦めないけど。
水沢さんなら、私……
なんか納得できる」