「約束」涙の君を【完】
次の日。
8月30日
朝、行きよりも膨らんだ大きなバッグを、おじいちゃんの車に積んだ。
おじいちゃんは、縁側で一服。
おばあちゃんは、台所で片付け。
私は…
庭から見える山や、畑をぐるりと眺めて、
目に焼き付けていた。
そうだ最後に…
私は、縁側のおじいちゃんのところへ行った。
「最後にもう一回、山の神社に行ってきてもいい?」
おじいちゃんは、ふうーっと煙を吐くと、
「いってきなぁ。
待ってっから」
「うん」
私は頷くと、山に続く小道に出て、
小走りで山の中に入っていった。
234段の石段を上って、神社に着くと、
ガランガランと鈴を鳴らして、
手を合わせた。
…楽しい夏をありがとうございました。
また、来ます……
目を開けると、一礼して、
木々の合間から見える青空を仰いてから、
また石段を下り始めた。
何段か下りたところで、
下から上ってくる人が見えた。
ゆっくりと一段一段下りて、
そして、
石段の真ん中で、
下から見上げる祥太と出会った。