「約束」涙の君を【完】
お父さんが、再婚していたんだ。
祥太も、私が東京にいる間に、いろいろとあったんだ。
再婚って……
うちの場合は、再婚はしていなかったけど、
奥野が一緒に暮らしていて、すごく辛かった。
嫌味ばかり聞かされて、
冷たくて。
祥太は、大丈夫なんだろうか……
【祥太は、大丈夫?】
「なにが?」
【お父さんが再婚して、よかった?】
祥太はボードを見てから、まっすぐ川を見た。
「よかったと思うよ。
とにかく、太一がかわいくてしかたないよ。
小学3年なんだけど、すごい人懐っこくて、
ちっちぇーことですぐ泣いて、かわいいんだよ。
母ちゃんも良い人だよ。
本当に、よかったと思ってる」
そうなんだ…
「血は繋がってなくても、大切な家族だよ、二人とも」
偉いな…祥太は……
祥太は立ち上がってバッグを背負い、シャツを持った。
「ばあちゃんが待ってるから、帰るか」