受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
 母の部屋のドアを何くわん顔で開けた眞樹。
俺の朝食のトマトジュースに、リストカットをした血を注入する。


その度に震え上がる体。
恐怖と悦楽が心をシンクロする。
眞樹は興奮のるつぼにいた。


それはこの世の終わりかと思えるような妄想と現実の間だった。
それが得たいがために、何度もリストカットを繰り返す眞樹。
それこそが若い幹部候補生達のトリップだったのだ。


眞樹はもう知っていた。
あの輸血の正体を。
だけど耐えていた。
それが自分の生きる力となっていたから。


そしてどうせそのため死ぬのなら、俺を呪ってからにしよう。
そう思っていたのだった。


だからトマトジュースにその血を注いだ後にそしらぬ顔をして真ん中の鍵を押し掛ける。

そして狂喜乱舞の世界へと入って行ったのだった。




 子供の頃犬を飼いたくなった俺は本を読んだ。
その中にあった新生児容血に興味を持ち調べてみたことがあった。
そしてそれは、今一つの答えに繋がった。


動物にも血液型はあることを知り、彼等は眞樹の血液型を研究して最も適合する動物の血を探し当てた。


それを秘かに用意していたのだった。

輸血に見せかけて、動物の血を眞樹の血管から投入しようと思っていたからだった。

動物の血液を輸血すると勿論死ぬことになる。
動物同士の輸血の場合でも、両親の血液型の違いで様々な弊害が起こる場合もあるようだ。


特にB型猫の持っている抗A抗体は非常に協力で、産まれてすぐ死ぬ新生児容血を起こすことが知られている。

母猫がB型で新生児がA型の場合、その初乳を飲むことによって容血を起こし数日で死亡してしまう恐ろしいケースもある位なのだ。

でも日本猫の場合殆どがA型でAB型も僅かなようだ。


だから眞樹の場合にはあてはまらないと彼等は考えていたのではないのだろうか?


B型血液を保有している猫。

スコティッシュ・フォールド。
スフィンクス。
ソマリ。
バーマンなどが知られている。


又、犬は父親がDEA1.1(+)。
母親がDEA1.1(−)の場合にも起こるとされている。


対処法は、事前に血液型が解っていたら、そのペアは避ける。

産まれたらすぐに母親から離し人口乳を与えたることだそうだ。




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