CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
昨晩、吉岡さんとデートが決まった直後にホテルに吉岡さんが来る事はホテルの支配人に話してあった

だから私がホテルの部屋を出ると支配人が部屋の前で待っていてくれ、案内されるまま地下駐車場に向かうと、白いスポーツカーの前で立っている吉岡さんにスムーズに会う事が出来たのだった


「お待たせしました♪」


黒いVカットのトップスに、白いハーフパンツ姿の吉岡さん

やっぱり、鎖骨が素敵♪って思いながら笑顔で挨拶をすると、吉岡さんは笑顔で車のドアを開けてくれたのだった

ふぅ~

めちゃくちゃ緊張する‥‥

いざ車に乗り込んだものの、吉岡さんと2人っきりは初めての事だ

対談で話した時だって、あれは雑誌の仕事だった訳だし、食事だって皆と一緒だった

それにメールや電話で話していたとしても、顔を見て2人で過ごすなんて初めての事だから、頭の中ではどうしようって言葉が浮かんでいた


「やっぱり良いよなぁ~
 俺、この曲も好きなんだよ!!」

「えっ?」


車のエンジンを掛けた吉岡さんが口を開くと、そこには私の唄ってる曲が流れていた

その曲のタイトルは、Distance before loving you

つまり和訳するなら、あなたを愛するまでの距離って曲だ


「吉岡さんは‥‥
 本当に私の歌が好きな‥「吉岡さんって言うのは止めない?
 篤人って呼んで欲しいって言ったら迷惑?」

「えっ?
 迷惑なんて‥‥」


いきなり私の言葉を遮った吉岡さん

しかも篤人呼んで欲しいとまで言われ、私は顔が一気に火照って熱くなってしまった


「じゃあ、呼んでみて?」

「えぇ~~~!!
 あ、篤人?」

「はい、合格♪
 で、さっきの質問だけど、初めて会った時にさぁ~
 瑠璃の唄ってる曲は全部持ってるって言っただろ?
 俺、嘘は付かないからね!!」


合格って‥‥

しかも、瑠璃って‥‥

そんな事を言われた私は、もう頭が真っ白になってしまい、ただただ顔が火照って熱く感じるばかりだった


「寒いのと暑いの、どっちが嫌い?」

「寒い方かな?」

「俺も♪
 じゃあ、無理かもって思ってる事でも、やらないよりやった方が良いと思う?
 それとも、無理だって諦める方?」

「やる方かな?
 後悔はしたくないし、あの時やってればって思っても時間は戻らないから、私は後悔するよりチャレンジしたいなぁ~
 篤人は?」

「俺も同じだなぁ~
 今しか出来ない事ってあるじゃん!!
 過去には戻れないし、サッカーなんて結果が全てだからねぇ~
 その時に最高のプレーが出来なかったら、今までの自分が無意味になっちゃうし、その為に身体は鍛えてるけど、常にチャレンジ精神は持っていたいって思うよ
 人生、やっぱり後悔はしたくないからね
 じゃあ、普段は知り合い以外と関わりたい?」

「基本的に、自分の時間は欲しいと思うから、知らない人だらけだったら話しかけないでって思うかな?」

「そっかぁ~
 俺も、俺と同じだ」





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