日々是淡々と‥
亜由美は続けた‥

「だって、明日倒れて
寝たきりにでもなって
働けなくなっちゃったら、
どうする?そのうちに
家賃も払えなくなって
生活に困窮しちゃうのよ。
考えただけで恐ろしいよね。
だからって、ナケナシの
お金をはたいてもローン
組まないと足りないから
マンションは買えないしさぁ‥。
それにローンなんて今から
借りたら幾つまで返済する
ことになるのよ‥。」

「う~ん‥。」

「典子は偉かったよ。
あの時、思い切って
雄介さんと結婚してさ‥。」

「そ、そう?」

「だって、いくら見た目が
ぱっとしなくても‥
あ、ごめん。酔っ払って
います‥。ほら、私って
面食いだからさ‥。
あはは‥だから、
超ハンサムでなくっても
ってことよ。優しくて
きちんとした会社で
働いていて、高給取りで
家もあって‥条件は完璧
じゃない。言うことなしよ。」

 確かに、雄介はどう見ても
ハンサムではない。
どちらかといえばいわゆる
アキバ系だ。だからといって、
別に変な性格ではないし、
普通の男性だ‥と
典子は思っている。

 だが、結婚を決めた時に
友人の多くは喜んではくれたが、
ものすごく羨ましがられたりは
しなかった。

それは正直なところ‥事実である。


< 40 / 46 >

この作品をシェア

pagetop