日々是淡々と‥
典子の日常‥
同じ頃、たまプラーザにある
マンションの一室、20畳あるしゃれた
リビングの大きなソファーに座って
典子はぼんやりテレビを見ていた。

朝から何度も何度も流される
女性タレントの結婚式の同じ場面に

「はぁ~っ!‥もう、うんざり‥
何回同じ物見せるのよって‥。」

そうつぶやくとテーブルの上の
リモコンを手に取って
スイッチを消した。

麻田典子(42歳)、専業主婦である。
子供はいない。

窓の外には、まだ細かい雨が
降り続いている。
先週からの長雨で部屋の中も
なんとなく湿っぽい。

こういう天気は、よけい気分を
滅入らせる。

せめて、カラッと晴れてくれれば
洗濯物を外に干せるのに‥。

典子はイライラしていた。

時計を見ると、もうすぐ三時になる
ところだった。
今日は木曜日。
今週は月曜日から買物にも出かけず
家の中で過ごしている。

別に家にいることが嫌いなのではない。

ただ、この夏以降なぜだか何も
やる気になれないでいる。

だからといって、家事全般をさぼって
いるわけではないのだが‥。

以前よりかなり手抜きだ。

特に天気が悪いときには最悪だ。
朝から一日中テレビの前にいる。

別にテレビが特別好きなわけではない。
夫の雄介を送り出した後、
何もする気になれないので、
ただテレビの前に座っているだけ
なのである。

毎日繰り返される『殺人事件』や
『詐欺事件』に『スキャンダル』‥。
どのチャンネルも同じことの繰り返し。

しかも事細かに枝葉末節を
『これでもか!』とばかりに穿り返す。

『殺人事件』の詳しい状況を
いくら詳しく知ったところで、
気分が良くなるはずもない。

いい加減気が滅入るようなワイドショーに
辟易しながらも、その場を離れる気力さえ
湧かずにただ座って眺めている事しか
できない。

そんな自分にほとほと嫌気がさして
ようやく典子は思い切ってテレビを
消したのだった。
< 6 / 46 >

この作品をシェア

pagetop