新 抱かない男の見分け方
 最近、熟年離婚が多いのも、原因のひとつには長年のセックスレスがあるのでは、と見ています。50代の妻たちからも、長年セックスがなかったことによる辛さを吐露するお悩みは、日々寄せられているからです。
「あなたは、たしかにいいパパだし、優しい夫です。でも、もう何十年も抱いてくれなかったじゃない。私がどんなに悩んだか気づかないあなたと、これ以上一緒にいるつもりはありません。いつも夜中にあなたの背中を見つめて泣いていたのですよ」と、60歳の夫に書いた手紙を見せてもらったこともありました。

 結婚して22年間ずっとセックスレスの香奈恵さんは、やっと離婚の決心ができたと、私宛てにお手紙をくれました。

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 結婚22年目ですが、52歳の夫に結婚当初から抱かれていません。子どもは偶然した1回きりの交渉でできました。その子ができてからは、まったくありません。企業戦士の夫は仕事に追われ、セックスどころではなかったので、こちらから求めるのも気がひけていました。
 セックスがないというのは、夫婦の潤滑油が足りないようなものです。ちょっとしたケンカをしても、そのことを根にもっている私の気持ちはおさまらず、何日も気まずいムード。私は完全に欲求不満。イライラが募って、夫を恨むようになりました。セックスできる普通の夫婦であれば、ケンカをしていても、ここまで険悪な状態になることはなかったのではないでしょうか。
 がんばって恥ずかしさをこらえて自分から誘ったこともありましたが、『女がそんなことを誘うものではない、汚らわしい』と彼は怒りはじめました。
 私はセックスをあきらめ、家事育児に励みましたが、やりきれない思いはずっと胸の奥にありました。 女ざかりの20代30代を夫に踏みにじられたのです。
 子どもが成長したので、やっと離婚に踏みきることができました。世間体を気にする夫に、性格の不一致ではなく、性の不一致で離婚したと周りに言いふらし、今までのひどい仕打ちに決着をつけてやりたいとさえ考えています。

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 若い頃から陥ったセックスレスが尾を引いて、『恨み』とさえなり得るという厳しいケースです。

 まだ若い皆さんには想像を絶することでしょうが、「たかが数ヵ月のセックスレス、いつかは戻る」と安心していては、取りかえしのつかないことになります。とくに女性の皆さんは、自分の性の欲求が今後どのように変化するかまったくわからないと思います。
 子供を2人産んでから子育てに一生懸命でセックスなんかなくてもいいと考えるタイプ。あるいは子供の手が離れた頃からメキメキグングン性の欲求が増大し、疼く気持ちを抑えるのに精一杯というタイプになるかもしれません。
 前者の場合、もし夫がセックスを求めると悲劇が始まります。「うちの奥さんは拒否ばかりする。こうなりゃ外でやってやる」と思われてもしかたがない。後者の場合は、逆に夫が性欲減退していくと、妻の葛藤は死ぬまで永遠に続くのです。熟年女性誌でセックス特集が組まれるとよく売れるというのもわかります。「ほかの人はどうなの?年をとってもセックスしたいものなの? 私だけおかしいの?」と気になるからなのです。
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