意地悪な彼が指輪をくれる理由
「私、もう出るね」
「送ってく」
「いい、いい。休みなんだし、ゆっくり寝てなよ」
「でも」
「その頭で外に出るつもり? 瑛士がシャワー浴びるの待ってるヒマはないからね」
「そうか……」
こんなの、なんだか瑛士の方が必死になってるみたい。
私がこの部屋を出ることに対しての寂しさを感じて、ちょっと嬉しい。
景品のラッピングも終わった。
クイズもおおかた考え終わった。
私には瑛士への気持ち以外、この部屋に来る理由がなくなった。
もしかしたらもう来ないのかもしれない。
玄関に移動して、ヒールのサンダルを履く。
私たちの身長差はおよそ20センチ。
サンダルを履くと、ヒールの分だけ瑛士の顔が近くなる。
「じゃあね」
「ああ、またな」
次に瑛士に会うときは、高いヒールを履くのをやめておこう。
顔が近くなると、私はきっと欲を出してしまう。
昨夜、私は瑛士に溺れた。
偽りの幸せにどっぷり浸かって、もう瑛士無しの日々なんて想像できないくらいまでになっていた。
しかし、結局手加減できなかった瑛士によってもたらされたお腹の痛みのおかげで、冷静さを失わなかった。
私は一度溺れたけれど、這い上がることができたのだ。