意地悪な彼が指輪をくれる理由
昨日雨風とシャワーに打たれた衣類は、夜の間に洗濯して浴室乾燥に入れておいた。
すっかり乾き、柔軟剤のいい香りを放っている。
それらを全て取り入れ、リビングで簡単に畳み、テーブルの端に乗せておく。
シャワーを浴びると、その音から昨日瑛士が追ってきたときのことを思い出した。
「真奈美?」
物音で起こしてしまったのだろうか。
瑛士が寝室から服を着て出てきた。
「あ、おはよ。ごめん、起こしちゃったね」
「いや、目覚ましかけてた」
「日曜なのに」
「だって真奈美、今日仕事だろ? 俺のせいで遅刻はさせられない」
「起こしてくれるつもりだったんだ」
「まあな。俺優しいから」
寝ぼけ眼に寝癖のついた頭。
しわになってヨレヨレのTシャツ、ゆるめのスウェット。
気だるさの残るちょっと爽やかな朝。
彼の恋人にならなければ見られなかった景色を、私はもう何度も見せてもらった。
今日は仕事だ。
一度家に戻って、仕事用の服に着替えなければならない。
メイクだって、しなければならない。