意地悪な彼が指輪をくれる理由

昨日雨風とシャワーに打たれた衣類は、夜の間に洗濯して浴室乾燥に入れておいた。

すっかり乾き、柔軟剤のいい香りを放っている。

それらを全て取り入れ、リビングで簡単に畳み、テーブルの端に乗せておく。

シャワーを浴びると、その音から昨日瑛士が追ってきたときのことを思い出した。

「真奈美?」

物音で起こしてしまったのだろうか。

瑛士が寝室から服を着て出てきた。

「あ、おはよ。ごめん、起こしちゃったね」

「いや、目覚ましかけてた」

「日曜なのに」

「だって真奈美、今日仕事だろ? 俺のせいで遅刻はさせられない」

「起こしてくれるつもりだったんだ」

「まあな。俺優しいから」

寝ぼけ眼に寝癖のついた頭。

しわになってヨレヨレのTシャツ、ゆるめのスウェット。

気だるさの残るちょっと爽やかな朝。

彼の恋人にならなければ見られなかった景色を、私はもう何度も見せてもらった。

今日は仕事だ。

一度家に戻って、仕事用の服に着替えなければならない。

メイクだって、しなければならない。

< 166 / 225 >

この作品をシェア

pagetop