意地悪な彼が指輪をくれる理由
でも、どう考えても不機嫌な瑛士が悪いと思う。
実際に秀士先輩はきちんと働いており、サボってなどいないのだ。
彼の持ち場は全て片付いて、わざわざ私を手伝いに来てくれた。
「落ち着きなよ、瑛士。秀士先輩、ちゃんとやってるじゃん」
「うるさい。真奈美は黙ってろ」
ムカッ!
なによその言い方。
スイッチの入った私は秀士先輩をかばうように瑛士の前に立った。
「あんた、さっきから何なのよ。サボってるのはそっちでしょう? 瑛士の方、全然片付いてないじゃん」
「それはっ……!」
「あんたこそ、ちゃんとやらないんだったらもう帰ってよ!」
「なっ——」
「瑛士は準備を頑張ったんだし、もういいよ! 残りは秀士先輩と二人でやるから!」
私が大声を出したせいで、お店のスタッフの人たちが心配そうにこちらを見ている。
それに気付いた瑛士は言い返して来たりしなかった。
しばらくの沈黙のあと、
「じゃあそうしろ」
と吐き捨て、脱いでいたジャケットを羽織り、靴の音を響かせて店を出て行った。
何なのよ、一体。
あそこまでイラついてしまうほど、秀士先輩が嫌いなの?
それとも、私が……?