意地悪な彼が指輪をくれる理由
「あ、真奈美? 俺俺」
「詐欺か」
「今ちょっと事故っちゃってさぁ」
「で、何の用?」
「ボケたんだからもう少し乗れよ。スルーすんな」
「ごめんなさいねぇ、機嫌が悪いもんで」
私だってボケられたらツッコんであげたいけれど、電話をかけてくるタイミングが悪すぎる。
「何かあった?」
期待通りの言葉をくれた瑛士も、どうやら外にいるようだった。
私はエスカレーターを下り続けながら、耀太のことを瑛士に愚痴った。
本当は家に帰ってからいずみに愚痴りたかったけれど、この溜まったモヤモヤを今放出できるなら瑛士でも良かった。
もちろん後からいずみにも話すけれど。
一通り話し終えると、瑛士は軽い感じで言った。
「ふーん。じゃあ、今からうちに来いよ」
「はぁ?」
「碧たちの二次会の話し合いもしなきゃいけないしさ」
「話し合い“も”ってどういう意味よ」
「そりゃあ、ねぇ。真奈美、辛そうだし。ここは俺の出番でしょ」
「出番って……」
「言ったじゃん。俺たちは寂しさを埋め合うのがベストだって」
まったく、男ってやつは。
頭ん中それしかないわけ?