意地悪な彼が指輪をくれる理由
……やっぱり、そうだったんだ。
ていうか、4ヶ月って。
私と別れる前に、もうできてたってことじゃない。
長い付き合いで、子供もいて。
こんなの、私が浮気相手みたい。
「わかった。指輪、準備してあげる」
私があなたからもらうことを夢見ていた「アリュール」を。
「ああ、よろしく。助かるよ」
「準備できたら、連絡するから」
「ありがとう。じゃあ、また」
電話はあっさりと切れた。
疲れた。ため息が出る。
せっかく新しい友達ができて良い一日になると思ったのに。
メールの占い、実は結構当たっているのかもしれない。
今日はもう、もっと悪いことが起きる前に帰ろう。
そう思って下りのエスカレーターに乗ると、再び携帯が震え出した。
ディスプレイには「大川瑛士」の文字が。
私はドキリとしたのと同時に、また30分以内にどこどこに来いとか何とか言われそうで、出るのを躊躇する。
携帯はエスカレーターを1フロア分下ってもしつこく震え続けた。
仕方がない、気分は乗らないけど出てやるか。
「……もしもし」