意地悪な彼が指輪をくれる理由
瑛士に指定されたのは、コンビニの駐車場だった。
私がそこに着いた時、駐車場にはブルーのアウディが停まっていた。
瑛士の車だ。
その横に見覚えのある男二人。
「真奈美」
サッと手を上げた瑛士に一瞬だけ目を合わせ、無言で碧に近付く。
となりの駐車場の縁石に腰掛け、酷く落ち込んだ顔をしている。
私は構わず彼の胸ぐらを掴み、引っ張り上げ、立たせた。
「碧」
二人の男の顔が驚きに変わる。
「大事ないずみを、あんたなんかの嫁にはやれない!」
力一杯突き飛ばすと、よろけた碧を瑛士が受け止めた。
「どういう意味だよ?」
尋ねてきたのは瑛士の方だ。
碧は呆然と私の顔を見ている。
彼の気の抜けた表情は余計に私の感情を逆撫でした。
「あんたに落ち込む資格なんてないんだよ!」
「真奈美! 落ち着けよ!」
犬のように吠える私を瑛士が抑える。
「いきなり怒られてもわけわかんないから。まずは説明しろって」
両腕を掴まれ、ぐっと顔を近付けられる。
こんな時でも胸はちゃんとドキッとするらしい。
怒りに支配されていた私の心は、恋心の侵入によって少しだけ落ち着きを取り戻した。