消えた清水能舞台(A探偵団5)

大雨洪水警報

○映画村、オープンセット脇
   大雨である。
   待機中の木村、高田、亜紀、太一。
高田「よく降る雨やねえ」

木村「そろそろ警報が出るわよ」
   山本と原田が加わる。
原田「さっき大雨洪水警報が出た」

木村「ほんと?」
高田「いよいよやね」
山本「今回京都府警は全然動かんらしい」

原田「この雨の中危険やもんな」
山本「今回は非常に危険。だから我々も
 安全な場所で見守ろう」

高田「そやけど南禅寺の疎水が止まる所見届けたい」
原田「そやな」
山本「どっかいい場所探してみるか?」
皆「賛成!」
   皆、笑む。

○京都府警本部、正面
   大雨である。

○同、本部長室、内
   本部長と出羽、亀山がいる。
本部長「・・というわけで南禅寺の疎水が止まったら
 すぐに知らせてくれ」

出羽と亀山「は、かしこまりました」
   二人、敬礼して去る。

○南禅寺、疎水土手
   大雨である。
   6人のワゴンが来て止まる。
   6人、土手を川上に歩いていく。

   「立ち入り禁止」の柵がある。
   すごい水量である。
原田「ここで行き止まりだ」

木村「ここら辺にテントを張りましょうか?」
高田「お弁当あるし、ゆっくりしましょ」
山本「すごい水量だな、しかし」

   原田と山本がテントを張り始める。
   隙を見て亜紀と太一が柵を超えていく。
原田「あれ?太一と亜紀は?」

   そこに二人が現れる。
亜紀「向こうにもいるよ」
太一「どうも一味だよあれは」
   皆、顔を見合わせる。

○疎水土手、上流
   雨が降っている。
   テントが見える。
   「国土交通省、立ち入り禁止」と書いてある。

   山本、原田と太一が現れる。
   3人、テントを覗く。誰もいない。
   空気口用のパイプが見える。

原田「あれ?これ一味のと違うか?」
山本「こんなことだろうと思った。間違いない。
 ここで発破のスイッチを押すんだ」

原田「という事は発破は二つ?」

山本「そのはずだ。川底と岩盤とだ。最初の発破で
 流れが止まる。岩盤の貯水部分が一杯になると又
 疎水に流れが戻るから、そのときが二回目だ」

原田「よし、じゃあ太一ここで見張れ」
山本「みつかるなよ、ややこしくなるから」
   太一、うなづく。
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