消えた清水能舞台(A探偵団5)

一枚岩

○山林
   山本、原田、太一が雑木林の中にいる。
山本「ここらへんが清水の真裏あたりだ」
   太一、何かを見つける。

太一「なにこれ?」
   原田と山本が駆け寄る。
   直径15cm高さ2m程の筒がある。
   ちょっと目には木の幹に見えて分からない。

山本「これはひょっとしたら?太一覗いてみろ」
   原田、太一を肩車する。
太一「ただの空洞です」

山本「これが日ノ岡までの間にいくつかあるはずだ。
 空気孔だ。出入り口もどこかにきっとある」
   太一、先のほうを歩いている。

原田「日ノ岡の方角は?」
山本「太一の方角だ」
太一「又あったよ」

山本「そうか分かった。出入り口は日ノ岡の工事現場だ」
原田「一直線にトンネルが掘られている」
山本「そうだ。まちがいない。一旦戻ろう」
   原田と太一、うなづく。

○不老の滝
   不老の滝の水のみ場に木村と高田がいる。
木村「この水のみ場の石とあの2枚の石以外にこの印は見つからないわ」
高田「なんやろ、あのマーク?あれ、亜紀ちゃんは?」
   亜紀、向こうで手を振っている。

○同、一枚岩
   不老の滝の頭上はるかに大きな一枚岩がある。
   その中央に苔むして分かりにくいが羽根マークがある。
   木村、高田、亜紀が見上げている。

高田「あった、あそこ」
木村「とにかく一旦戻りましょう」
   高田と亜紀、うなづく。

○清水、能舞台下
   6人が集まっている。
   地図を広げている。

山本「能舞台、不老の滝の一枚岩、空気口。これらは
 一直線に日ノ岡に向かっている」

   向こうから出羽と亀山が来る。
   6人、隠れる。
   出羽と亀山、能舞台を見上げながら、

亀山「この能舞台が流れ去るなんて事は」
出羽「それはないやろう」
   6人、声を押し殺して笑う。

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