ふぁんたじあ!!
一章 ちゅーとりある
「おい、調子乗ってんじゃねえぞ」
「なんとか言えよ、弱虫」
数人に囲まれ罵倒され、胸倉を掴まれ壁に押し付けられる。
「あっ、あの僕はっその、あの」
「喋んじゃねえ気持ちわりぃ」
「はっ、はいすみません!!ごめんなさい」
「喋んなっつってんだよ!」
拳がふり上げられる。殴られると思った瞬間、少女の声が聞こえた。
「やめな、あんたたち弱虫いじめて楽しいの」
「あ?何だこの女」
「集団の平和は一人の生贄によって成り立つ。その生贄はスケープゴートと呼ばれる。スケープゴートとは、 古代ユダヤで、年に一度人々の罪を負って荒野に放たれたヤギ。贖罪のヤギ。責任を転嫁するための身代わり。不満や憎悪を他にそらすための身代わり…このクラス内におけるスケープゴート、ヤギはそこの壁と一体化しそうになってる少年。集団の平和のためにヤギを痛めつけいてるのがそこの諸君。それで間違いない?」
一息にそう言い放つと少女はぐるりといじめっ子達を見回す。
「だったらどうすんだよ」
「集団の生活を送っているかぎり、スケープゴートが消えることはないわ。それは自然の摂理の中では当然のこと…でもね、人間の世界では違うのよ?スケープゴートを生み出したやつは悪なのよ。わかる?直接人に意見を言ったら嫌われそうで怖くて言いなりになっていて
自分の立場を守るためにスケープゴートを生み出した弱虫君 。本当の弱虫はどっち」
「うるせえ!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!」
少年は少女に拳を振りおろした。
ピシッ、と音がして少女の周りに魔法陣が現れる。魔法陣は少女を取り囲み、魔法壁を生み出した。その魔法壁と少年の拳がぶつかった瞬間、少年と共にヤギを虐めていた少年たちが砂になって消え去った。
「なっ…」
「あなた、合格ね 、そこのヤギ君も。来て」
少女がクンと指を曲げると前へ引っ張られる感覚がした。
何かにぶつかった、溶け込まれていく。体がフワフワして、とても気持ちがいい。

ヤギは意識を手放した。
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