もっと傷つけばいい
理由を聞かれたらどうしようかと思ってた。

場合によっては、帰らされることは間違いない。

そう思っていたら、
「当ては?」

ソウが聞いてきた。

「――えっ?」

首を傾げたあたしに、
「そうだな…。

行き先とか、泊まるところとか」

そう言ったソウに、あたしは首を横に振って答えた。

「そうか」

呟くように返事をした後、ソウはビールを一気に流し込んだ。

タンと、グラスをテーブルのうえに置く。

「きて」

ソウの手には、あたしのボストンバックがあった。
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