もっと傷つけばいい
あたしはソウのされるがままで、彼に声をかけることができなかった。

ただ彼に抱き枕のように強く抱きしめられて、
「――ナギ…」

自分が犯した罪に苦しみ、ただ彼は涙を流していた。

泣いて、愛する人の名前を呼んでいた。

「償いたかった…。

ナギによく似ている君で、ナギを殺した罪を償いたかった…」

彼は子供のように泣いて、泣いて、泣いて…。

あたしは、ソウに声をかけることができない。

彼をどうすることもできない。
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