もっと傷つけばいい
その場が沈黙した。

…あたし、今すごくバカなことを言った。

羞恥で顔を赤くしたあたしに、
「――欲しいのか?」

ソウが呟くように言った。

「――えっ…?」

聞き返したあたしに、ソウはそれまで首を締めていたネクタイを緩めた。

「僕とセックスがしたい、そう言うことだろ?」

「――ちっ、違っ…」

あたしは、そんなつもりで言った訳じゃない。

「なーんて…ちょっと言って見たかったんだ、この台詞」

ソウはイタズラっ子のように笑った後、ペロリと舌を出した。
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