僕等のSTORY

俊平Side

その日……伊月が真剣な表情だったのに、
きっとこのクラスにいる全員が気づいていた。
いつもと違う伊月。
俺は、話せずにいた。
でも、この男は違った。

「加美山っっ♫おはよ」
「…あっっ!!!」
「おっ!何だよ…」
「…未練って、何?」

あ!!!の声のボリュームと凄く小さいボリュームでそう言ったのが分かった。
それが、聞こえたのか…クラス全員が…
緊張で固まった顔が少し緩まったのが分かった。

「未…練?う~ん…皆にっ?…「いい!!」

龍が言っていた言葉を切るようにして、勢い良く、そういった伊月。
やっぱ、コイツ…面白い。(笑)

「未練かぁ…ぁ!!」
「…何?」
「なんかさぁ、失恋したのにぃその人のことがぁどうしても忘れられなぃ!って感じ??」
「そうだよねぇ…じゃあさ?これは…」
「ん??」
「――――――――――――――――――」(コソコソ言ってて聞こえない笑笑)
「う~ん、それは、未練っていうより…いきなりだったから、裏切ったやつが悪い!!」

伊月の質問に真剣に応える、龍。
アイツ…伊月のコト…。
伊月は、ずぅーーーーーーーっと真剣な顔のままだ。
俺は、ずぅーーーーーーーーっと真剣な伊月を見つめていた。
純粋な伊月の横顔を……。
まだ、真剣に話している。

「…………」

俺は黙ったまま。
何を話してるかは分からなかったけど、
何かを真剣に話してるのは分かる。
俺も、出会ったときにされたなぁ…。
あの時、アイツは俺に…
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