【完】ダンデライオン
おばあちゃんは、私が部屋にいなくなったことに気付いたみたいでドアを開けた。
「たんぽぽちゃん?どうしたの?お腹すいた?」
おばあちゃんは、変わらずニコニコしている。
なんか、それさえも懐かしい。
「……そんなこと、ないんだけど。」
「そう?あ、そういえばおばあちゃんが渡したおにぎり食べた?」
「あっ……」
そういえば、おにぎりを作ってもらったけどそれどころじゃなくて全然食べてない。
おばあちゃんの部屋に戻り、借りていたリュックの中から、渡されたおにぎりを取り出す。
おばあちゃんが作ってくれたおにぎりは、ラップにくるまれていて、よく見る三角形ではなく俵型。
自覚はないものの、おいしそうな食べ物を見ると自然とお腹がすいてくる。
私はおばあちゃんの部屋のイスを拝借して、おにぎりを食べてみることにした。
ラップを開いて、おにぎりを一口かじる。
「……おいしい。」
塩をふっただけの塩むすびだったけど、程よい塩加減とご飯の甘みが、ほんのりと広がる美味しさだった。
「本当?嬉しいわー」
おばあちゃんは、私がおにぎりを食べているのを見て嬉しそうに笑った。
「おばあちゃんはね、もともとは雪の国の人間だから…この世界で生活するのに困ったことが何個かあったの。」
「へぇ?」
「まぁそれは気候だったり、この世界のことが分からないことだったり。あと、食事ね!」
食事…?
料理のことかな?