【完】ダンデライオン
おばあちゃんは、雪の国へと通じるドアノブをグッと掴んだ。
「じゃあ、たんぽぽちゃん…ドア、開けて良い?」
うん、って言おうとしたけど。
「あ!待って!!麦茶飲みたい!!」
「早く言いなさいよ…」
…喉の渇きには堪えられませんでした。
あまりにも拍子抜けしたみたいで、おばあちゃんは最早ニヤニヤ笑っている。
キッチンで水分補給して、もう一度部屋に戻ってきた。
おばあちゃんが、ドアノブを掴む。
「じゃあ、開けるね?」
「…うん。」
「たんぽぽちゃん、気をつけてね。」
おばあちゃんが勢いよく、ドアを開けた。
………目の前は、広がる景色いっぱいの吹雪でした。
私はもう、ポカーンとするばかり。
ハッと我に返ると、寒さがすごく身に堪える!
「えええぇええ!?ちょっと、おばあちゃん!!寒い寒い寒い!!!!!!」
ここの季節が夏だから、フツーのTシャツと半パンで行こうとしてたよ!
吹雪の前にしたら、こんな服装寒すぎる
!
慌てて、開いていたドアの前から飛び退いた。
おばあちゃんも私の服装のヤバさには気付かなかったらしい。
「あらー、本当だね。私の長袖ローブがあるから着て行きなさい。」
そう言って、おばあちゃんはクローゼットから真っ黒なローブを持ってきて、私に着せてくれた。
羽織るだけなのに、なんだかとてもあったかい。
素材が良いのかな?
あと、サンダルしか持ってこなかった私に、長靴も貸してくれた。
……なんか、ダサい作業用みたいな真っ黒な長靴。これはもう仕方ない…
「じゃあ、改めて。開けるね?」
そして、雪の国へのドアが開けられた。