実は、彼女はご主人様でした。
「ははは…なんだ、これ…」



天井から視線を逸らすことなく、体を動かすこともない。そのままの姿で先生は掠れ声で呟いていた。



「あなたから負の感情がなくなったんですよ」



桜雪は極上の笑顔で、上から先生の顔を覗き込んだ。



「負の…感情…どうりで…」

「少しは軽くなりました?」

「ははは。軽くねぇ…ありがたくはないな…」

「そうですか。では…」



そう言って桜雪は再び先生へ掌を向けた。
いつもと違う段取りに、真人は桜雪を止めるが、それを聞かない桜雪は、先生の中から更に負の感情を自身に取り込んだ。



「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!」



ついに先生の苦痛な悲鳴が教室に鳴り響く。
一度目の時に先生の既視感は消えており、今見えるのは普段の教室の中。
先生には何も見えてはいないはず。
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