実は、彼女はご主人様でした。
第五章 両親とのツナガリ
「今日は間に合ったよ。寝坊はしてないからね」

「何を言っている。当然だろう。さぁ、どうぞ。両親はこの前と同じように待っている」



待っている、この言葉には疑問が浮かんだが、真人は促されるままに桜雪の自宅にあがった。

前回と家の雰囲気は変わらず、すぐに両親の待つリビングに向かうと、そこには、両親が揃ってソファに座りこちらを見ていた。


あまりの異様な光景に真人は驚きを隠すことができなかった。



「え…あ、こんにちは…お邪魔…します…」



言葉を詰まらせながらも挨拶を済ませた真人は、両親の会釈と笑顔で返された挨拶に再び驚いた。



「まぁ、そんなに驚くな。確かに前に会った時とは全然印象が違うとは思うけれど、今日の両親もまた、いつもの両親何だ」

「……そう?いつもがよく分からないけど…」

「どの両親もいつもと一緒だ。前回の様な感じの部分も持っているし、今日のような部分も持っている。彼らは自身の感情で動くことは出来ない。私によって彼らの世界は都合よく毎日が回っている。だから日によって態度が極端なんだ。だが、今日でそれも終わる」

「……終わる、か…」
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