黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
「白いでしょ?」
「・・・白い」
「霊の色は執着心、怨念の強さで違うの。白は、そもそも未練が薄いか、執着心が怨念に変わっていないか。つまり、何の害もないってこと」
確かに、白い人影から悪意の様なものは感じられない。
「で、悪霊と呼ばれるクラスのものは、限りなく赤に近い。赤い霊は近くを通ったりしただけで、その人に何らかの害を与える。イタズラ程度かも知れないし、生死に関わるかも知れない」
瑠衣の目がスッと細くなる。
「で、滅多に遭遇する事はないけど・・・黒い霊。コイツに会ったら、とにかく全力で逃げること。ほぼ100%殺されるから・・・・・なーんて!!」
そう言って、瑠衣が勢い良く立ち上がった。
「はあ!?嘘なのか!!」
俺も後を追う様に立ち上がる。
怒り心頭といった俺を見て、瑠衣は意地悪く笑う。
「残念、ホントー」
意味が分からない。
瑠衣はほんの一瞬目を伏せ、雑踏に消え入りそうな声で呟いた。
―――嘘ならいいのに。
聞き返すこともできず、当然意味も分からず聞き流す。
「私は補習があるから行くけど、何かあったら連絡して。少しは相談に乗ってあげるよ。当然、有料だけどね!!」
「はあ!?」
その場で携帯番号を交換し、俺は瑠衣が改札を通り抜けていく姿を見送った。