黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~

電話を切った後、一度帰宅することにした。
1つだけ、どうしても気になる事があったのだ。それを先に確かめておかきたかった。


太陽が西に傾き、街並みが茜色に染まり始めた頃、俺は再び自宅を出た。逢魔が時は、昼でも夜でもない時間帯。何もかもか曖昧で、現実感が失われる刻。

自転車を走らせ、八幡橋交差点に向かう。
緩やかな坂を下り道なりに進むと、すぐに交差点が見えてくる。前回と同じ場所に自転車を停め、交差点に向かって歩く。

瑠衣の言った事は本当だった。
赤い光に包まれていた少女が、まるで本当にそこに存在しているかの様に見える。

左手首にはめている数珠を外してみる。
見えない。
やはり、何も見えない。
そこには、いない。


真っ直ぐに少女の元に向かう。
何の反応も見せず道路に向かって立ち、斜め下に視線を落としてアスファルトを見詰めている。

昨夜の事があるにも関わらず、不思議と恐怖心は無い。俺は少女のすぐ近くまで行き、ごく自然に声を掛ける。

「ちょっといいかな?」

少女がこちらを向き、小さく頷いた。


 




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