黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
▼信愛病院跡地


***

目を閉じると、まるで昨日の様に思い出す。

「市橋北高校らしいぞ」
「マジ?」
「お前の点じゃムリムリ!!」

中学3年生になった直後、果穂の志望校を聞いた俺は愕然とした。市橋北高校は、公立では市内で学力ナンバーワンの高校だ。当時の成績では、合格する確率は皆無だった。

でも、諦める訳にはいかなかった。
すぐに部活を辞め、勉強に一直線。
「本当に勉強するの?」と半信半疑の親を説得し、進学塾に通い始めた。

塾に行って驚いた。
そこに果穂がいたんだ。
だけど、塾のクラス分けテストでAとBに。
死ぬ気で勉強した。勉強さえすれば、同じクラスになれるんだから。

睡眠時間を削り、当初の目的も忘れ、ただひたすらに同じクラスを目指して勉強。夏休み明けに、ついにAクラス入りを達成した。

そして、念願の市橋北高校に合格!!


でも──

こんな別れが来るなら、こんなに悲しい思いをするのなら、合格しなかった方が良かった。
いや、会わなかった方が・・・

***

 




 




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