黄泉送り ~3人の悪霊と1つの願い~
数秒睨んだ後、俺が視線を落としたことで満足したのか、彼女はポケットから棒付きキャンディーを取り出し、それを口に突っ込んだ。
「何者だ?」
「あ、それって、もしかして黄泉送りの数珠?噂には聞いてたけど、実物見た人ってほとんどいないんだよね」
ごく自然に、俺の話など聞いてない。
「ふーん、なるほどなるほど」
「だから、お前は一体何者なんだ!?」
一人で納得している彼女に、もう一度、今度は少し強い口調でた問い正す。すると彼女はくわえていたキャンディーを手に持ち、それを俺の鼻先に突き付けて吠える。
「まずは、お前から名乗るのが筋だろ!!」
ぐ・・・
腹が立つが、彼女の言い分はもっともだ。
俺は立ち上がると、彼女に向き直る。
「市橋北高校2年、和泉 雅治」
「ふーん、同い年かあ。私は神崎 瑠衣」
見れば分かるという意味なのか、神崎は名前以外口にしない。自己紹介してもらっても意味がないし、必要以上に聞く気も無い。
しかし、どうしても確認しなければならないことがある。
「か、神崎さん・・・」
「んー、ムズ痒いから、瑠衣でいいよ」
初対面でいきかなり下の名前で呼ぶことに抵抗があったが、話しを前に進めるために仕方なくそれに従う。