仮定
「さあつきましたよ」
「こ、ここ…?」
森を抜けたどり着いたところは、高い石造りの塔。
巻き付くように塔の周りには螺旋状の階段が付いている。
東京タワーとまでは言わないけど、た、高い…
「リオン様のお部屋は最上階ですよ」
「へ?お部屋?さ、最上階??のぼるの!?」
「ご安心を。階段はさすがに使いませんよ。…こちらへ来てください」
美少年は私の手を引き抱き寄せる。
「へっ!へぇ!?」
な、な、な!?
美少年の暖かい胸に顔がふれる。
頭ひとつぶんほど、私より背が高いんだ…
なんだか、ふわりとなつかしい香りがする。
「ふふっ。さぁ、いきますよ」
「わっ!」
さらに美少年は私をお姫様だっこの状態に抱え、
バサッ
背中から白い翼が現れた。
えぇ!?翼!?て、天使!?
「目を閉じてください」
「は、はい」
その声を合図にぎゅっと目を瞑ると、翼のはばたく音と共に風が巻き起こる。
フワッと体が浮き、重力がかかる。

