好きになった人、愛した人。
譲れない
翌日、久しぶり泣いたあたしはいつも付けないつけまつげを付けて家を出た。


元々そんなに大きくない目が更に存在感を失っていて、ヒナタに何か言われると思ったから。


いつもの大学が見えてくると、次第に女の子たちのざわめきが聞こえ始めてきた。


今日はなにか特別なことでもあったかな?


そう思いながら歩いていくと、校門の前で矢原が立っているのが見えた。


スーツ姿で、少しムッとした表情の矢原。


女の子たちはみんなこの矢原にさわいでいるらしかった。


「こんなところで何してるの?」


そう声をかけると、矢原は地面に落とした視線をあげた。

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