好きになった人、愛した人。
窓辺に立って西日をあびている女性の絵。


あれは……あたし?


「ねぇ、この絵って……」


「あぁ、昨日チハヤ先生が帰ってから水彩絵の具で完成させた」


オレンジを貴重としているその絵は、まるであたしがあたしじゃないみたいだ。


「ちょっと、美人に描きすぎた?」


人の思いを見透かす言葉がしゃくで


「別に? そっくりじゃない」


と、答えた。


「可愛くねぇ女」


「奈生に可愛さを見せる必要もないからね」
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