不機嫌な果実
「ゴメン、帰る」

泣きはらした顔でそう言った桃子。


「恭治は、オレが何とかする」

「バカ言わないで」

「・・・」



「恭治の事は、そっとしておいて・・・

これは私が勝手に出した答えだから」


そう言った桃子は、涙を拭って、部屋を出ていった。

…追いかける気にもならなかった。


スッゲ―好きなんだけど。

今だって、抱きしめていたいのに。

何度も、桃子にキスしてしまいたいのに。


・・・何より、想いは、一つなのに。


数ミリの所で、交わらない。


もどかしくて、腹が立って、悲しくて、

桃子の事が好き過ぎて・・・


どうしていいのかわからなかった。
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