仮定




「おはよーっす!」




一人の男子生徒の声が聞こえ、それに反応したクラスメイト達の声で騒がしい教室が更にざわめき出す。




「はい、オハヨー。さーはよ席着けーHR始めんぞー」




チャイムと共に担任が入ってきて、その男子生徒はガタンとイスを引き、私の隣の席に座る。




「おはよ、森川!」



「お、…おはよう」




いつも通り笑顔で声を掛けてくる彼に、私は顔も見ずなんともぎこちない挨拶を返す。




………なんでそんな…普通でいられるの……!?




HRの朝自習の時間、私はずっと視線を感じていた。




隣の席から。




……隣の席の、風見から。




「………。」




気付かないフリをしてたけど…耐えきれなくなってチラッと視線だけ風見の方へ向けると、バッチリ目が合ってしまった。




そしてバッと逸らす私。





………見てる。



やっぱり、見てる。



ガン見だよガン見…



気のせいかもってちょっと恥ずかしくなったんだけど、やっぱり気のせいなんかじゃなかった。




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