仮定
四ノ宮恭介(シノミヤキョウスケ)は、マンションの部屋がお隣さんで、幼稚園の頃からの仲。
そして、長い長い間……私が片想いしてる人。
昔から何度も何度もやんわりと想いを伝えているのに、まっっったく気付かないニブニブ男。
まあそれは、私がはっきりと好きって伝えないのも悪いんだけど…関係が崩れるのが怖くて、とてもじゃないけどハッキリ告白する勇気が出ない。
むしろ付き合うとかじゃなくて、ずっとこのまま側にいられるならそれもいいかも、なんて思ったり……って!!!
それじゃだめなんだよ!!わかってる、わかってるんだよ!!!
でもでもでもでもーーーッ…!!
ああ、だめ。ぐるぐるしちゃう……
ゴホン。
随分話が飛んだけど、とにかく私が望んでいたのはですね……
あのクールなきょうちゃんのあまり変化のない綺麗な顔立ちが、ちょこっと、ちょこっとでもいいから「マジかよ?」みたいな感じで歪んだり……
…なんて、ただの妄想、願望。
わかってる。
ただの幼馴染みの、ニブニブきょうちゃんに望む私があほなんだ。
…私はこんなにずっと、きょうちゃんしか見てないのになぁ……
きょうちゃんは本当に私に興味無いんだもん。
これってもう、失恋フラグかな…
もっと早く気付けって感じだけど。
「はーぁぁ…」
私は窓側の自分の席で、空を眺めながら三度目のため息をついた。