仮定
再び担任が戻って来て、HRが終わる。
また教室が騒がしくなった頃だった。
「なあ、森川」
隣の席の風見が……話し掛けてきた…
「…な、何…?」
ああ、なんで私ばっかりこんな緊張してるんだろう…?
何か変に意識してて…バ、バカみたいじゃんか…!!
少しでも自己嫌悪の意識を掻き消すため、風見と目を合わせた瞬間だった。
「やっと見てくれた!」
その言葉と共に、風見がパッと笑顔になる。
…え、何この……
超嬉しそうな笑顔。
「もうさっきも目逸らすしさぁー、オレどうしようかと思った…」
次は眉を下げ、困ったような表情。
「…なあ森川……オレのこと、嫌いになった?」
そして、弱気な声で様子をうかがうように私を見つめる。
……え、と……
とりあえず、疑問が多すぎて……
何でそんな普通に話し掛けられるの?
あれって本気なの?
何で?
何で私なんかを…
好き、なの?
ぐるぐるぐるぐる、疑問が渦巻く。
いつの間にやら私は風見の顔を見つめたまま固まっていたらしい。
「…おーい、森川?」
私の目の前で手をひらひらと振る風見。
そこでハッとし、目を逸らした後、多すぎる疑問をやっとこさ声に絞り出すことにした。