視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~


「先生。何ですか?」


「…ああ。市川だけじゃなくて、松原にも用があるんだ。直ぐ生徒指導室に来れるか?」


「え?…はい。昼も済ませたんで…。」


尻窄みに言った私に、先生は、
『本当に、直ぐ来いよ?』
と念を押した後、小走りで校舎に向かっていった。


「私と大輔、知らない所で何かしたの…?」


周りの変化に付いて行けていなかった私は、そう思わずにはいられなかった。

朝のやり取りが…頭から離れていなかったんだ。


今までの”いつも”と、今の”いつも”は、違う事だって有り得るのだと…。


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