視界の端の黒い靄 ~ MOYA ~

私は、以前の様に怯えたりはしていなかった。

体も震えてはいない。


私は、ゆっくりとお父さんに向かって話し出した…。


「お父さん。…短い間だったけど…私を育ててくれて、ありがとう。」


「か…香歩。お前、何言って…。」


「私のせいで……お母さんを死なせてしまった…お父さん…ごめんなさい。」


「香歩っ。」


「それでも、…私は、この家族の一員になれて、…幸せだった…。ありがとう。」





そう言った後、私は後ろを振り返った…。







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